Diary

更新履歴・日々のこと

2023年10月の投稿1件]

2023年10月21日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

【お気に入りの本(一般文芸編)】

前回に引き続き、私のお気に入りの本を紹介します。
第2回は、一般文芸編です。

<『舟を編む』三浦しをん >

【あらすじ】
玄武書房に勤める馬締光也。
営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。

新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。

定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、
徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。

個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。
言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく――。

しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか――。

舟を編む 三浦しをん | フィクション、文芸 | 光文社
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn...

「おすすめのお仕事小説はありますか?」と質問されたら、一番に挙げるのがこの作品です。

もう、とにかく辞書に対する熱量が凄まじい。
いろいろな専門知識が出てくるのですが、そこは著者の腕の見せ所。わかりやすく表現してくれています。

主人公の真面目さが伝わり、かつ硬すぎないという絶妙なバランスの文章。ただただ敬服するばかりです。

好きすぎて、単行本でも文庫本でも読みました(文庫本では、馬締の恋文が読めるんですよ)。

以下、再読した際の感想メモです。そのまま掲載しますね。

辞書編纂に携わる人々の物語。

初めて読んだ時は、紙をめくるうちに指紋がすり減るという描写に驚きました。
当時の自分にはそこまで打ち込めるものがありませんでしたから、驚きも一入でした。

人間関係に対し不器用な馬締や打ち込めるものがなく才能がある人を羨んでしまう西岡に共感します。
悩みながらも自分が出来ることに懸命に取り組む、言葉と真摯に向き合う姿に以前の感動を思い出しました。

何度読んでも元気をもらえます。

<『図書館戦争』有川浩 >

【あらすじ】
2019年(正化31年)。

公序良俗を乱す表現を取り締まる『メディア良化法』が成立して30年。

高校時代に出会った、図書隊員を名乗る”王子様”の姿を追い求め、行き過ぎた検閲から良書を守るための組織・図書隊に入隊した一人の女の子がいた。
名は笠原郁。不器用ながらも、愚直に頑張るその情熱が認められ、エリート部隊・図書特殊部隊に配属されることになったが……!?

様々な困難と出来事、そして、本を狩る組織・メディア良化委員会にひたむきに立ち向かう、郁を始めとする図書隊の面々。
そう、すべては本と自由を守るため……。

『図書館戦争』KADOKAWA総合サイト
https://promo.kadokawa.co.jp/toshokan-se...

「図書館戦争」シリーズの第1作目。
このシリーズを書き始めたとき、実際に存在する「図書館の自由に関する宣言」から発想を得たそうです。目の付け所が違います……!

同著者の自衛隊三部作と同様、ミリタリーやSFの要素をふんだんに盛り込んだ内容です。
元々ライトノベルを書かれていた方だからでしょう。ミリタリーに詳しくない私でも読みやすく、自然とアクション場面も楽しめました。

恋愛小説として読むも良し。
シリアスな設定の中に、少女漫画のような描写が入ることで暗くなりすぎません。

戦闘時の格好良さと、恋愛に悩む可愛らしさ。このギャップが良いんですよね。どちらも応援したくなります。
ぜひ、シリーズを通して主人公の成長を見ていただきたいです。

ちなみに『別冊 図書館戦争Ⅰ』に関しては、砂を吐くほど甘いです(少なくとも私にとっては)。
どんとこい! という方はそのまま読み進めてください。そうでない方は少女漫画などを読み、耐性をつけてから挑戦しましょう。

<『トーキョー・プリズン』柳広司 >

【あらすじ】
元軍人のフェアフィールドは、巣鴨プリズンの囚人・貴島悟の記憶を取り戻す任務を命じられる。時を同じくして、プリズン内で殺人事件が発生。フェアフィールドは貴島の協力を得て、事件の真相を追うが……。

「トーキョー・プリズン」柳広司 [角川文庫] – KADOKAWA
https://www.kadokawa.co.jp/product/20080...

上記2作品とは雰囲気が異なるこちら。
「ジョーカー・ゲーム」シリーズで有名な著者の、もう一つの傑作と謳われている作品です。

終戦直後の日本を舞台にしたミステリー。
全体的に、硬質な文章です。こういった作風も好き。

ニュージーランド出身の私立探偵・フェアフィールドの視点で描かれており、
記憶喪失の囚人・貴島悟が犯したとされる捕虜虐殺の件を再調査しつつ、貴島の相棒役としてプリズン内の連続服毒死事件の謎を追っていきます。

物語の展開、登場人物ともに魅力的です。
特に、恐ろしいほど頭脳明晰な貴島は印象深い人物で、読了後もしばらくは彼の言動が頭から離れませんでした。
戦犯を収監した刑務所の様子や、戦争責任についても触れています。ミステリー以外の部分も読み応えがある作品です。

一般文芸に関しては、お気に入りがたくさんありすぎて選ぶのが難しかったです。
今回紹介できなかった作品は、また別の機会に。

日記