【掌編】三題噺

【掌編】三題噺

ひなた

高祖父が亡くなった。百二十四歳。老衰だった。 現代の医療技術からすれば平均的な寿命だろう。葬式から一か月経ち、ようやく気持ちが落ち着いてきた。 今日は曾祖母と一緒に高祖父母の家、すなわち曾祖母の実家へ...
【掌編】三題噺

○○すぎるのも考えもの

ここはホエールウォッチングが楽しめる港町。近くの商店街では、クジラに因んだクッキーや饅頭、キーホルダーなど、様々な関連グッズが陳列されている。 観光客には喜ばれるかもしれないが、現地在住の佳央からすれ...
【掌編】三題噺

その温もりに寄り添うように

その日は風が冷たかった。 隣を歩く彼女は肩を竦めると、マフラーを口元まで引き上げた。色白の肌に蜜柑色のマフラーが映える。彼女の瑞々しさを表すような色だった。 私は自身のポケットにホッカイロを入れていた...
【掌編】三題噺

色とりどり

土曜日。 せっかく学校が休みの日なのに、外では雨が降っている。 ボールを持ってしょんぼりと立っている男の子の前に、お母さんがしゃがみ込んだ。「今日はお家の中で遊ぼう?」「うん」「我慢できて偉いねぇ」「...
【掌編】三題噺

雨の日の出会い

「やばっ、降ってきた」 今日に限って折りたたみ傘を持ってきていない。通勤鞄を傘代わりにし、慌てて近くのバス停に駆け込んだ。 ふうと一息。鞄からハンカチを取り出し、濡れたスーツを軽く拭った。その間にも雨...
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