【掌編】三題噺 その温もりに寄り添うように その日は風が冷たかった。 隣を歩く彼女は肩を竦めると、マフラーを口元まで引き上げた。色白の肌に蜜柑色のマフラーが映える。彼女の瑞々しさを表すような色だった。 私は自身のポケットにホッカイロを入れていた... 2025.05.26 【掌編】三題噺
【掌編】三題噺 色とりどり 土曜日。 せっかく学校が休みの日なのに、外では雨が降っている。 ボールを持ってしょんぼりと立っている男の子の前に、お母さんがしゃがみ込んだ。「今日はお家の中で遊ぼう?」「うん」「我慢できて偉いねぇ」「... 2025.04.13 【掌編】三題噺
【掌編】三題噺 雨の日の出会い 「やばっ、降ってきた」 今日に限って折りたたみ傘を持ってきていない。通勤鞄を傘代わりにし、慌てて近くのバス停に駆け込んだ。 ふうと一息。鞄からハンカチを取り出し、濡れたスーツを軽く拭った。その間にも雨... 2025.02.11 2025.02.13 【掌編】三題噺