【短編】鬼と千代の約束 第8話 二人の約束 涙が止まると気持ちも落ち着いてくる。 改めて考えて、十年って長い。 そう鬼さんに伝えると「誤魔化されなかったか」という目で見られた。 一年近く鬼さんを見てきたのだ。無表情に見えてもわたしにはわかる。 ... 2023.07.01 【短編】鬼と千代の約束
【短編】鬼と千代の約束 第7話 大木の上から 桜の花びらがひらひらと舞う。 顔を下に向ければ、町のあちこちでピンク色の絨毯が作られている今日この頃。 ◇ 今日は鬼さんが大木の上のほうに連れてきてくれた。 片腕で抱えられて、枝のところまでひと... 2023.06.30 【短編】鬼と千代の約束
【短編】鬼と千代の約束 第6話 こわくない はんかち、ティッシュ、飲み物、お菓子……。「よし」 いつもより重くなったリュックを背負い、玄関に向かう。 外に出て数歩進んだところで振り返った。決意を胸に、小さく呟く。「行ってきます」 ◇ そ... 2023.06.29 【短編】鬼と千代の約束
【短編】鬼と千代の約束 第5話 祭神 「あの方と何かあったのかい?」 お爺ちゃんの言葉に目をぱちくりさせる。 ここはお爺ちゃんの部屋。 障子から入ってくる日の光は淡く室内を照らす。角度によっては、お爺ちゃんの白髪が銀色にも見えた。 わたし... 2023.06.28 2023.06.29 【短編】鬼と千代の約束
【短編】鬼と千代の約束 第4話 すれ違い 担任の先生が台風に備えるよう注意喚起している。 わたしはその声をぼんやりと聞いていた。 帰りの会が終わると、途端に周囲がざわざわし始める。みんなに挨拶をしながら、すぐに帰路についた。 いつもの道を一人... 2023.06.27 2023.06.29 【短編】鬼と千代の約束